第19章 湯殿
「ふふ、いい子いい子。」
後ろを向くと、少しの間を置いて、パシャパシャと水の跳ねる音がする。それから脱衣場への扉の開く音がした。
「乱ちゃん!今日はありがとう、楽しかったよ!今度はジェラート食べに行こうね!」
振り返るのと、扉が閉まるのはほぼ同時だった。
「はは‥あるじさん、どこまで理解してるのかなぁ。」
楽しかった、か。うん、楽しかったよね。
手に残るあるじさんの感触を確かめるように、自分をぎゅっと抱き締める。
「…ねぇ、あるじさん、ボク気付いちゃったよ。」
あるじさんの事を愛しいと思った事、それと一緒に、あるじさんを守りたいと思った事。
はぁ、すっごくドキドキしちゃった。帰さなければよかったかな?
…なぁんてね。