第19章 湯殿
あるじさんの首筋に頬を寄せて、もう一度強く抱き締める。
細いけど柔らかくて温かくて、いい香りがする。…ドキドキするけど、落ち着くなぁ。ふるりと震えるそれすら愛しい。
愛しい…?そっか、ボクあるじさんの事‥
「ねぇ、あるじさん?周りは刀と言えど男の身形をした奴しか居ないんだから、もっと警戒しなきゃだめだよ?ねっ?」
「はい‥」
はぁ、ボク何しちゃってんのかなぁ、あるじさんをいじめたい訳じゃないんだ。
「よし、あるじさん!ボクあっち向いてるから、十数える内に出て!」
「え?」
「じゃないとさぁ〜…ボクから攻める?それともそっちから?」
軽く耳朶を食むと、もう降参とばかりに、わかったを連呼する。