第19章 湯殿
背筋がゾクッとして、一瞬目眩を覚えたんだ。
けど、次に気付いた時にはあるじさんの首筋に後ろから唇を沿わせていた。
「ひゃっ!!乱れちゃん!?」
「…ちゅっ」
慌てて振り向こうとするけど、もう遅いよね。
あるじさんを後ろからそっと抱き締めると、今更になってボクを意識し出したのか、真っ赤になる。
「ね、さっき何回も言ったよね。ボク、女の子じゃないんだよ?…それに、短刀の方が色々知ってるんだよ?」
色々、を強調してみれば小さな声でごめんなさい、と言うあるじさん。
‥細くて折れちゃいそうだ。掌に収まる肩を撫でると、改めて、あるじさんの小ささを知る。
ねぇ、もしかしていつも無理してたんじゃないのかな?