第94章 今を生きる
そんな主を見て優しく笑った長谷部さんが、主の手を握った。
「‥おわかりでしょうけど、愛しています。今日は昨日よりも、明日は今日よりも、もっとたくさん。……主がここへ来たばかりの俺達に、字や色々な言葉、習慣や礼儀作法を教えるために用意している沢山の本の中にあった文章です。」
れてるにしゃんそん?とかいいましたか‥そう首を傾げながら続ける。
「あぁ、秋田達が読んでいた熊の本にもこんな事が書いてありましたね。もし君が100歳まで生きるのなら、僕は100歳マイナス一日生きたいな。君なしの人生を送らないように。‥と。」
俺を一瞥して、また主を見詰める長谷部さん。そっか、長谷部さんは俺に聞かせてるんじゃないんだ、主にだけ聞かせたいんだね。