第94章 今を生きる
「君の魅力は若さだと言う人もあれば、品のよい遊び心だと言う人もいる。いいところも悪いところもひっくるめ君は誰にでも好かれる。どんな罪でも君が関われば魅力になってしまう。……君は私のもの、私は君の名声だけを聞いていたい。」
「もぉ、何がしたいの?恥ずかしくなってきた。」
「その通りだなと思っただけですよ。‥ああ、これはどうです?」
紙が擦れる音がして、長谷部さんが楽しそうに口を開く。
「誰もが美しい者から子孫が生まれる事を願う。そうすれば美しい薔薇が枯れる事はないからだ。……今や君はこの世のみずみずしい宝、極彩色の春の先駆け。そんな君が自分の薔薇をつぼみのまま終わらせたら‥けちんぼさん、そんな物惜しみは酷い浪費だ。」
「むぅ…長谷部、それ勧婚章なの解ってて読んでる?」