第17章 名を呼べば
少しするとパタパタと走る音がして、息を切らせながら加州君がやって来た。
「はぁはぁ、なぁーに、ちゃん!俺の事呼んだぁ?またデコってく……あ。」
「加…州君‥?今、何て?」
「う、うわぁぁ!!?ごめん、燭台切ぃぃ!!!」
何かを察したのか、そのまま逃げて行く加州君。その後ろ姿を見送ってから、笑いながら主ちゃんが振り返る。
「ねっ?」
真名‥いいの?そんなんで?
ふっふっふ、と悪役みたいな笑い方をしながら僕を見下ろす主ちゃん。安心したのと、何とも言えない複雑な気持ちがぐちゃぐちゃになって、僕、泣きそうだよ。