第94章 今を生きる
「綺麗な色だな!」
「ああ、そうだね。…はい、どうぞ。主ちゃんは砂糖の代わりに蜂蜜で味を付けるから、優しい甘さで美味しいよ。」
燭台切さんから渡されたぼた餅を頬張る。優しい甘味と、鶯丸さんの熱いお茶がとてもよく合う。
「…っぷはぁ、美味しいな!凄く優しくて落ち着く味なんだぞ。‥燭台切さんも落ち着いたか?大丈夫か?」
「……うん、落ち着いたよ。ふふ、参ったね、これじゃ格好つかないな…鶯丸さん達にはお見通しだったみたいだね。」
お茶の入った器から口を離すと、はぁ…と溜め息をつく。
「僕、早く貞ちゃんに会いたいとは思ってたけど、主ちゃんは江戸へ行くの乗り気じゃないし、そんなに表には出さないようにしてたつもりだったんだ。けど、どうも伽羅ちゃんにはバレてたみたいでさ…」