第94章 今を生きる
「燭台切さん!!」
「……あれっ、包丁君?」
石垣に腰を下ろして、門の向こうを見詰めていた燭台切さんが振り向く。
「やぁ、そんなに息を切らせてどうしたんだい?僕に何か用かな?」
「うん、そうなんだぞ。…あ!その前にこれ!」
「水筒?…と、これは?」
鶯丸さんから預かった水筒と、小狐丸さんから渡された小さな包みを手渡す。
「さっき鶯丸さんと小狐丸さんに会ったんだぞ。それで、燭台切さんがここに居るって聞いて、預かったんだ。」
少し気持ちを落ち着けて待つのもいいと思うって言われたんだ、と伝えると、そっか…と水筒を胸に抱いて微笑む。
「ありがとう。わざわざこれを届けに来てくれたの?」
「ん?いや、最初は十二天の事を聞きたくて探してたんだ。けど、今は燭台切さんと一緒に待ちたくて来たんだぞ。」