第94章 今を生きる
そう言うと、俺に持っていた水筒を手渡す。
「あ、これって…」
「鶯丸の点てた抹茶は格別ですからね。少し気持ちを落ち着けて待つのもいいと思いますよ。」
私もこれをあげましょう、と俺の手に小さな包みを握らせる。それを見て、こくこくと頷いた鶯丸さんに頭を撫でられた。
「さぁ、早く行け。‥俺は風呂に入るぞ。馬にぺっ、とされたからな。」
「ふふ、では背中を流しましょう。最近の馬は無視を覚えているようで私は平気でしたからね。」
そう言うと俺に背を向けた二人が去って行く。
「お茶、ありがとうなんだぞ!燭台切さんにちゃんと渡すからな!」
自然と本丸の門へ向かって走り出す。早くこれを渡してあげよう!それで俺も一緒に帰りを待つんだ。誰かを待って寂しく思う事はない、だって皆が居るんだぞ!