第94章 今を生きる
「勝つって…だって腕相撲だぞ?こーやって、ぐぐーって相手の手を倒すだけなんだぞ!」
ぎゅっと握った手に力を入れて、青江さんの腕を反対側へ倒す。だって腕相撲ってこういう決まりだろ?他に勝ち方があったらそれって反則になるんだぞ!
「ふふ、そうだねぇ。それは当然だ。…じゃあこれはどうだい?」
握った手の甲を小指でつつっと撫で上げ、はぁ…と低い声で溜め息をつく。今、ゾワッとした…なんか怖いから色々される前に倒しちゃうんだぞ!
「擽ったってダメなんだぞ!えいっ!!」
「あぁ‥そんなに強くしたら僕は壊れてしまうよ…!」
「ひっ!!?」
「あはは!何だそれ!?きっもちわりぃー!」
こ、怖いんだぞ!!ぬるっと指を絡めて俺の目をじっと見ながら、指の付け根を指の腹で撫でた。