第94章 今を生きる
「彼女、自分と誰かの距離を縮める時に、自分が嫌われるかもしれないと思うと途端に近付く事を躊躇うんだ。相手に嫌われる事を恐れているって言ったらいいのかな。だから、一晩かけて沢山話をしたんだ。僕は君と話したいし、一線も引いてない。だから僕を含め、何も気にしないでこれから来る子にもどんどん話して欲しいってさ。」
「あー…それであの後に来た長谷部にはガンガン行ってたのか?」
「多分ね。あの時、僕には話してもいいよ、って付け足すべきだったよ‥失敗したよねぇ。」
はは、と溜め息混じりに笑った青江さんに好きになったのは一晩話をしたからか?と聞くと、机に肘をついて俺に手を差し出す。
「ん?なんだ?握手か?」
「ふふ…腕相撲だよ。してみないかい?」