第93章 白妙
「何でしょうね?ぬしさまは一体何を‥」
「さくら、か…」
「ふむ、俺の主は面白いな。しかし、次へ行けば解るのではないか?」
次?まだ何かあるのか?白いさくら、の、が気になるしな。
「確か“次はママの所に行ってくる”でしたかな?…はて、ママとは誰です?」
「「燭台切だろうな。」」
予想外にも同時に同じ言葉を発し、三日月と顔を見合わせて笑う。ママだのお母さんだのと、主は何かある度に言っていたからな。
「…ではそろそろ行く、邪魔をしたな。」
「あぁ、待て長谷部、もう一つだけお前に言いたい事があったんだ。」
「何だ?主はやらんぞ。」
「俺を二度もこの本丸へ呼んでくれてありがとうな。主に会わせてくれた事、感謝するぞ。」
本当に、俺は何て奴を呼んでしまったんだろうな…ひらひらと手を振って、刀まで魅了する美しい笑みを浮かべた三日月の元を後にした。