第93章 白妙
小烏丸、小烏丸…普段と違う服を着ているとなかなか解らないものだな。周囲を見回しながら歩いていれば、目的の人物から声を掛けられた。
「子や、父を探していたのではないか?」
「はせべ!こっちですよー!」
今剣と並ぶ小烏丸はまるで短刀の誰かに見えて、うっかり通り過ぎるところだった‥
「おやおや…まさかとは思ったが、父を見間違えたとでもいう顔だな?見た目で相手を量ってはいけないぞ。」
「いや、すまない。声を掛けてくれて助かった。…主はどうしたか知らないか?」
口元を隠した小烏丸は、冗談だ。と、ころころ笑う。
「主なら、先程まで父の肩を揉んでくれていたのだが、子らに取られてしまってな。もう少し話をしていたかったんだが‥」
「取られた?誰にだ?」