第93章 白妙
「ぐ…山姥退治なんて俺の仕事じゃない。」
「ままま、待ってよ!青江さん呼ぼうよっ!ね?ボクなんかより絶対心強いからぁー!!!」
誰も山姥が居るとは言ってないし、中を確認するだけなのになぜ青江を呼ぶ必要があるんだ。
「…長谷部殿、何をなさっているんですか?うちの乱れが何か?」
「一兄っ!!助けてボク達、拐われちゃう!」
左手には乱を抱え、右手で山姥切の布を掴んで引き摺る俺を、冷たい目で見詰める一期一振。人聞きが悪いな、誰も拐わん。
「少し、お話宜しいですかな…?」
「はぁ‥勘違いをするな。主が戻られる前に早く片付けたいんだ。」
「イヤー!片付けられちゃうー!!」
話なら歩きながら頼む、と言った言葉に若干眉を顰めたが、乱を放すならと了承して付いて来た。