第92章 夜桜
「‥みっちゃん?」
「ううん、何でもないよ。ごめんね?」
抱き締めた腕に力を込めると、僕の胸に顔を埋めたちゃんが小さく嘘つき、と呟く。あれっ、バレちゃったかな。
「大丈夫?不安になっちゃった?」
僕の後ろへ回された小さな手が、とんとんと優しく背中を叩く。
「ね、ちゃん、ちゃんはずっと僕達と一緒に居てくれるよね?」
「勿論、私はみっちゃん達が居ないとだめだもの。鬱陶しい!なんて言われても絶対に離れてあげないんだから。」
ありがとう、と笑うとちゃんも笑う。やっぱり僕は君が大好きだよ、君の一番が誰であろうとね。
「…さぁ、ちゃん、そろそろ帰ろうか。僕はこのまま君と二人きりで夜桜を見るのも良いんだけどさ。」