第92章 夜桜
お花見の場所はここで決まりで良いよね。早く帰らないと、色んな意味で暴れだす子達が出そうだしなぁ…
ちゃんから一歩後ろへ下がり、そっと手を握る。
「帰ろうか、僕達の家へ。」
「うんっ!」
桃色に輝く桜を見上げたちゃんが、嬉しそうに頷いて振り向く。
“春霞 たなびく山の桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな”
…春霞がたなびく山の桜の様に、いくら見ていても飽きない君であることよ、ってね。ずっと君のその笑顔を見ていたいな、きっと本丸の皆がそう思ってる筈だよ。
「お重、開けるの楽しみだねっ!」
こちらへ来て本当の君を知ったけど、これから先も、もっと色々なちゃんを知りたいな。嬉しそうに握った手を振るちゃんを見ながら、そう思った。