第85章 暦
「おはよう、大将!…どうした、体調でも悪いのか?」
「主殿、おはようございます。お疲れですか?」
粟田口の二人が猫部屋に顔を出す。
「ううん、大丈夫だよ。‥それより今日はまだ鶴丸を見てないんだけど?」
「鶴丸殿なら先程、窓の外に居ましたよ?本を読んでおられました。」
「ベランダに?私の部屋の本棚にあった本だろうけど、鶴丸が好みそうな面白い物なんかあったかなぁ…」
もうすぐ朝食だろうし、戻ろうか?そう言いながら立ち上がると、傍へ寄ってきて服の裾を引く。
「そう言う訳だから、今日の近侍よろしくねっ?」
「……好きにしろ。」
こちらに来てから近侍なんて言われたのは初めてで、なんだか可笑しな感じがした。
こちらの生活に馴染んできているのか。刀の癖にな‥