第85章 暦
「あ、主ちゃん、すぐ朝食になるからね?」
「うん。みっちゃん、ありがとっ!で…長谷部は何してるの?」
「鶴丸が何回呼んでも空返事なので、窓に鍵を掛けてしまおうかと。」
「いやいや、長谷部君、閉め出しはいくらなんでも‥」
‥珍しいな、国永がそんなに熱中するなんて。何の本を読んでるんだ?
「鶴丸、ご飯の時間ですよ?」
国永の後ろから両手を伸ばし目隠しすると、悪い悪い。と、あいつの両手を引っ張る。
「ひゃ!何?」
「なぁ、ちょいと耳を貸せ。」
国永が背負う様な体勢のまま、耳に手を当て何かこそこそと話をすると、あぁ!そうだった!とあいつが声を上げる。
‥何だ?また国永のいつも驚かしか?
「おい、大将、風はまだ冷たいんだ。風邪引くなよ?」
「うん、大丈夫!」
そう言うと、国永の隣に座り込み一緒になって本を覗き込んだ。