【黒子のバスケ】 囚われ王女と獣の城 【裏夢R18】
第12章 温熱
貴女「ん……」
ふと目を覚ました。随分と時間が経ったのか、辺りは既に暗かった。
花宮「起きたのか…」
ベッドの横に座っていた花宮は私の額に触れた。もしかして、ずっと傍にいてくれたのだろうか。
花宮「まだ熱があるな。」
貴女「…」
そういえば、行かないでって私が言ったのか…そして花宮の過去を知った。
貴女「花宮…ありがとう……」
花宮「っ!」
花宮は驚いた表情を一瞬見せた。すぐにいつもの花宮に戻ったが少し微笑んでいるようにも見える。
まだ夢の中にいるのだろうか…花宮がこんなに優しいはずがない。
(でも…どうして?)
不思議とその表情の方が花宮らしい気がした。肩の力が抜けていて、自然体に見える。
花宮「水でも飲め、口開けろ」
戸惑いつつ、促されるままに口を開ける。開いた唇の間に水差しの先が当てられ、冷たい水が口内に流れ込んできた。胃がすっと冷えて、気分が楽になる。
貴女「ふふ、私貴方のこと少し見直した…。」
私も素直に自分の気持ちを伝えると、大きな手が瞼の上に乗った。
花宮「…油断してると蜘蛛の巣にかかるぜ?無防備な王女様はすぐに喰われちまうかもな、ふはっ」
貴女「ん…」
気配が迫ってきたのを感じた次の瞬間には、柔らかいものが唇に触れていた。軽く触れただけのそれが、ゆっくりと遠ざかる…
花宮「…騙すことは得意分野だ。だが騙されてみるのも悪くないかもしれないな…」
騙されてみる?どうゆう意味なのだろうか…
貴女「花宮?」
花宮「ふはっ、じゃあな王女様。お大事に」
結局、花宮の言った言葉の意味は聞き出せず彼は部屋を去った。
貴女「…」
花宮のことだ、うろたえる私を見て楽しんでいるのかもしれない…
でも私に触れた手はすごく優しかった…
(これは…ただのいたずら……)
忘れようと目を閉じたら瞼の上の感触を思い出してしまって、ため息が出る。
本当に厄介だ……
そんなことを考えながら再び眠りについた。