第100章 キミとボク
ギリギリ間に合った音楽の授業。
パートごとに分かれて練習する中、キミは鍵盤と向き合っている。
翔くんのピアノの伴奏で歌うのは、甘酸っぱいラブソング。
キミとボクは楽譜越しに、時々視線が交差する。
ボクもキミも指揮者じゃないのにね。
ピアノを弾くキミは、とても綺麗で。
できるなら、キミの姿だけを見ていたい。
そう。
1年前のちょうどこの時期…
この音楽室で。
あぁ、なんて綺麗なんだろうって。
それが、ボクがキミを意識した瞬間。
“智くんの歌声が綺麗だったから”
それが、キミがボクを意識した瞬間。
END