• テキストサイズ

キミとボク【気象系BL】

第99章 Bittersweet



「お持ち帰り、してもいいかな」

お持ち帰り…

その言葉の意味くらい、俺にだってわかる。

「いい?」

再び大野さんに聞かれて。

俺はコクッと頷いた。

大野さんの左手と俺の右手があいている。

俺はさっきまでケーキの箱を持っていたその右手で、大野さんの左手をきゅっと握った。

頭の中に、ケーキに添えられていたプレートの文字が浮かぶ。

「大野さん」

「ん?」

「翔を…お願いします」

俺なりに勇気を出せたと思う。

連れて帰ってください、なんて恥ずかしくて言えないから。

すぐさま大野さんが握っていた手を恋人繋ぎにした。

「今、すげぇドキドキしてる」

俺はずっとドキドキしっぱなしだけど…

大野さんにそう言ってもらえるのは素直に嬉しかった。




「まだ言ってなかったな。誕生日おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

「それに…ね?久しぶりに聞いた声がさ“大野さーん”だったからさ。すぐにでも抱きしめたかった」

「えっと、あれは…その…」

恥ずかしくてしどろもどろになっている時にはもう、頬の真横に大野さんの顔があって。

「あのさ…翔。今夜さ、日付またいでもいい?」

大野さんからの甘い耳打ちに、全身がカァッと熱くなった。








END



/ 1027ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp