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キミとボク【気象系BL】

第99章 Bittersweet



俺が持っていたケーキの箱を閉じながら、大野さんがそれをデスクに置く。

自然と近くなる2人の距離。

ドキドキが止まらない俺は体が固まり、動くことができない。

「櫻井に会いたかった」

大野さんの、澄んだ綺麗な瞳が揺れている。

それを見て…

俺はやっとだけど、状況をのみ込むことができた。




「俺も、大野さんに会いたくてたまりませんでした」

もうここまで来たら、俺も正直になりたいと思った。

1歩前に出る。

いや…半歩前に出ただけで大野さんと体がくっついていて。

あっ…

と思った時には既に、大野さんに体を抱きしめられていた。

暖かい温もり。

俺もぎゅうっと大野さんを抱きしめた。

「おいらのこと、好き?」

「はい。好きです」

「んふふ。おいらもね、櫻井のことが好き」

コートを着ていても体が痛くなるくらい抱きしめられている。

俺、幸せです…大野さん。

「おいら、すっごく嬉しいんだけど」

「はい。俺も同じです」

重なった視線。

「キスしてもいい?」

囁くような大野さんの言葉に、顔も体も一気に熱さを増した。




「櫻井、可愛い」

「そんなことな…」

そんなことないです、って言い終わらないうちに、大野さんに顎クイされた。

突然のことにびっくりして、腰が少し引けてしまって。

だからなのかな…

俺のほうが大野さんより少し背が高いはずなのに、さっきよりも上に向かされている。

大野さんを見上げてる状況に、ドキドキが止まらない。

少しずつ近づいてくる大野さんの唇。

俺は上から降りてきた大野さんの唇を、ちょっぴり震えてる唇で受け止めた。








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