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キミとボク【気象系BL】

第93章 またこの場所で


Oサイド

「智くんと翔くんにね、話があるんだ」

不意にじいちゃんに名前を呼ばれてびっくりした。

それに話ってなんだろう。

翔くんが姿勢を正すのが見えて、俺も姿勢を正した。

「この絵ね、2人にもらってほしいんだ」

じいちゃんの言葉に息をのむ。

俺は咄嗟にじっちゃんとのことが頭をよぎった。

“持ってていいよ”

そう言って似顔絵を託された日が、じっちゃんと会った最後の日になってしまったから。

翔くんと暫し視線を交わす。

「…俺たちでいいんですか?」

「うん。君たちがいい」

その言葉を聞き、じいちゃんの気持ちを大切にしたいって思った。

「こっちはね、おいらがもっていくから…」

バッグからあの似顔絵を取り出したじいちゃんは、穏やかな表情でそれを見つめる。

“もっていく”って言葉には単に持ち帰るってだけじゃなくて…
他の意味も含まれているのだろう。



「またね」

そう言って改札に入り、じいちゃんは帰っていった。

以前よりも腰が曲がり、ゆっくり歩くじいちゃん。

その姿が見えなくなった後も、暫くそこから動くことができなかった。

「あの…誰かお探しですか?」

駅員さんに声をかけられ我に返る。

「いえ、大丈夫です。翔くん、帰ろうか」

「うん」

駅員さんに会釈をし、俺と翔くんは帰路についた。




「翔くん」

「ん?」

「今日からよろしくお願いします」

「こ、こちらこそっ。洗濯物とりこまないとっ」

顔を真っ赤にしながら庭へ向かう翔くんを追いかけ、干してあるシーツに隠れるようにして、ぷっくりした唇にキスをした。

「ちょっ、外から見えちゃうでしょっ」

耳まで赤くしながらプンプンと怒ってますアピールする可愛い人を見て、愛しさが増していく。

年の差のある友達と出逢い、

大切な人を…大切な場所を…守っていきたい。

そう強く思った。





♪ピーンポーン…

「あのっ、えっとぉ…」
「ひまわりをみても、いいですか?」

そこには…日焼けした垂れがちな目の男の子と色白で目のおっきな男の子がいた。

「んふふ。おうちの人にここに来ることを話してあるならいいよ」

「はいっ。ちゃんとつたえてきました。ねっ?」
「うん。いってきた」

「それなら、中にどうぞ」

「いらっしゃい。ひまわりはこっちだよ」





END


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