第92章 ある日の山②
「あれ?おかしいなぁ…」
風呂から上がると、着替えが消えていた。
浴室に来たときは確かに置いたはずなのに。
洗濯カゴの中に落ちたのかな…
そう思って視線を向けてみた。
「あれ?何で空っぽなの…?」
脱いだ服までなくなっている。
それどころか、タオル類までも綺麗さっぱりなくなっていた。
俺のボディーを拭くものも隠すものも見当たらない。
「どうしよう…」
そう思ったのと同時にガチャっとドアが開いた。
「ひゃっ」
びっくりした俺は、思わずその場にしゃがみこんでしまった。
「んふふ」
独特な可愛らしい笑い声がしてくる。
「しょ―くん」
「さ、智くん…」
現れたのは同じグループのリーダーで、俺の恋人。
ここは智くんちだから、智くんがいるのは当然ではあるんだけど。
俺はこんな状況にも関わらず、智くんの程よい筋肉のついている超絶せくすぃ~な体と、真ん中にある特大な肉棒に釘付けになってしまった。
そんな俺を智くんはニヤニヤしながら見ている。
「あ、えっと…智くんの体が素敵すぎるわけだから、つい見ちゃうのは当然なことかとっ…」
必死になりながらの言い訳に、自分でも照れてしまった。
「さぁ。行こうか、しょ―くん」
「…へっ?」
智くんが俺の手を取り、立たせてくれた。
その智くんの手が俺の背中と膝裏に伸びる。
「わかってるくせに…」
いやいや…
まだ裸だし…って、智くんも裸だけども。
俺は髪も体もびちゃびちゃなままなんですけど…。