第90章 My Angel
「ずるい…」
僕は櫻井さんの腰に腕を回し、ぎゅっとしがみついた。
「ずるいです…」
「あ、ちょ…」
櫻井さんの手が僕の肩から離れる。
「不安になってどうしようって嘆く姿も…片付けそっちのけで寝ちゃうのも…」
僕は徐々に上へ上へと手を這わせ、櫻井さんのお腹から胸へと顔を擦りよわせた。
櫻井さんの体がソファーに沈んでいき、押し倒すような形になる。
僕は櫻井さんの耳の横に手をついた。
櫻井さんのおっきな瞳が揺らいでいる。
「鼻歌しながら洗濯物を畳んでる姿も…」
密着している部分が熱くなっていく。
「唇に牛乳をつけたままでいるとこも…」
「えっ。俺、牛乳ついてる?」
咄嗟に唇を拭おうとする櫻井さんの右手。
僕はその寸前で櫻井さんの手首を掴んだ。
「そうですよ。風呂上がりからずっと…」
「ずっと…?」
「そう。ずっと…気になって仕方がなかった」
櫻井さんの喉がゴクッと鳴るのが微かに聞こえる。
「そのどれもが僕には愛しくて…」
僕は櫻井さんの顔に自分の顔を近づけた。
「髪を拭いてくれたお礼に…櫻井さんの唇、拭わせてください」
そう言って…
僕は櫻井さんの上唇をペロッと舌で舐め、ゆっくりと唇を重ねた。