第15章 もしも気づいてくれたなら
俺の高校生活もあと3日で終わる。
勉強に部活に友達にも恵まれて充実した毎日だった。
でも…心残りが1つあるんだ。
「あれ?櫻井、何してんだ?そんなとこに突っ立って。」
ん?と首を傾けるこの人…大野先生に会いに来た。
「あの…センセ。今お時間ありますか?」
「あぁ。大丈夫だよ。あ、中に入るか?」
「はい…いいんですか?」
「どうぞ~。」
誰もいない美術室には、西陽がさしている。
窓辺に向かいながら、春はもうすぐだな~って言っている先生の横顔がとても綺麗で。
ずっと見ていたいな…って思う。
…卒業したらもう叶わなくなるけど…。