第88章 果てない空
「ん〜っ」
ベッドにダイビングした俺は、ニヤニヤしながら体をくねらせたり足をバタバタさせたりなんかして、全身で喜んだ。
誰かが見ていたら引かれるレベルだろうけど、そんなの関係ないくらいに。
暫く悶えたあと、ズボンのポケットに入れていたスマホを取り出す。
連絡先を登録するのに、こんなにワクワクした気持ちになったことは初めてだ。
登録し終えると、早速連絡したくなった。
時計を見ると15時。
「まだ帰ってきてないかもな」
一旦は諦めたけど、何だかムズムズして落ち着かない。
「俺の連絡先を知らせるくらいならいいかな…」
再び意を決して俺の連絡先を打ちこみ、送信ボタンを押した。
“送信しました”の表示にホッとする。
櫻井くんもドキドキしながら登録してくれるかな、なんて思う。
「ふぁ〜っ。ちょっと眠るか…」
少しウトウトしてきた俺は、ベッドに横になり目を閉じた。
それから間もなくして、メールの着信音がなった。
ディスプレイには“櫻井翔”の文字が表示されている。
「あっ、櫻井くんからだ」
ドキドキしながらメールを開くと
“今から行っていいですか?”
とメッセージが入っていた。
“いいよ。待ってる”
俺はそう返信した。
…今から、って実家からかな?自宅からかな?なんて今更ながら思っていると、ピンポーンと部屋のチャイムが鳴った。
「はい、どちらさまですか?」
「あのっ、櫻井ですっ」
「はーい、今開けるね」
ドアを開けると
「大野さんっ」
櫻井くんが飛び込んできた。
「うおっ」
俺は少しよろめきながらも、櫻井くんの体を抱き止めた。