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キミとボク【気象系BL】

第85章 のぼせ注意報



んふふ、あったけぇなぁ…。

ぬくぬくしているクッションに頬擦りをすると

「ひゃっ」

って可愛らしい声が聞こえてきた。

ん?なんだろう…?

もう一度、さっきより強めに頬擦りしてみる。

「あっん、もう…」

うほっ、何だか色っぽいじゃねえか。

だけど、クッションがしゃべるわけないし…。

俺は片目をそお〜っと開けてみた。

横向きになっている俺に密着しているのはクッションではなく…チャコールグレーの…ズボン?

まさか…

櫻井が膝枕してくれてる?

手のひらで撫でてみると、思った通り足の感触がした。

うわっ、超嬉しいんだけど。

もう少しだけこのままでいさせてね、櫻井。

俺はそう心の中で呟いた。



眠ってしまうのはもったいないから、しばらく寝たふりをしていた時、ふとあることを思い出した。

「あ〜っ!」

「うわっ。な、なになにっ」

「櫻井、終電…」

「えっ…あっ…」

俺が顔だけ上に向けると、櫻井と目が合った。

「終電…間に合うか?」

「うーん…間に合わない、かな」

「ごめんな…櫻井」

「いや、それはいいんだけど…」

「ん?」

「頭が動くとね、くすぐったくて…」

「あ、悪い…ごめん」

「ううん。いいの、いいの」

「櫻井、ずっと膝枕してくれてたの?」

「あ、えっと…。大野くんがクッションを落としそうになってたから直してあげようとしたらさ。大野くん、クッションじゃなくて俺のことを…その…ギュウッてしてきて…。それで…膝枕を、ね」

「マジかぁ…」

俺が起きなかったせいで櫻井が終電を逃したんだから、ここはやっぱり…。

俺は体を起こして、櫻井の隣に座った。

「あのさ。櫻井さえよければ…ね、今日ウチに泊まってく?」

「えっ。あ、えっと…いい、の?」

「もちろん。だって、俺のせいだし…ねっ」

「じゃあ、そうさせてもらおうかな…」

あ〜っ、もうダメだ。

はにかんでいる櫻井を見て、俺はもうにやけずにはいられなかった。





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