第85章 のぼせ注意報
明日は日曜日で、仕事は休みだ。
今日の仕事帰りに同期5人で俺の家に集まり、飲み会を開いた。
2時間を過ぎるとみんな程よく酔いがまわりはじめ、飲み会をお開きにすることにした。
「じゃあね〜」
「気をつけて帰れよ〜」
4人を玄関で見送り、鍵を閉めようと手を伸ばした。
コンコン…
「あの…大野くん」
ドアをノックする音と…
この声は…
「櫻井…?」
櫻井翔。
同期の中で、俺が密かに思いを寄せている人だ。
「うん、そう。中に入れてもらってもいいかな…」
「あ、うん」
俺は心臓が飛び出るんじゃないかってくらいバクバクしながらドアを開けた。
「ありがとう」
櫻井がゆっくりと玄関に足を踏み入れる。
1メートルくらいの枠の中に、櫻井と二人でいるこの状況。
夢の世界なんじゃないかって思えてくる。
「何か忘れ物でもしたの?」
「いや、そうじゃないんだけど…片付け手伝おうかなって」
「そんな…悪いよ…」
そう言いながらも、俺は嬉しくて堪らない。
「電車は大丈夫なの?」
「うん、終電までにはまだ時間あるから…」
「じゃあ、一緒に片付けしようか」
「うん」
コクッと頷く櫻井が可愛すぎるっ。
後ろを歩く櫻井の存在ににやけそうになりながら、俺はリビングに向かった。