第80章 キミがいるから
Oサイド
「あ〜、今日も疲れたなぁ…」
現在21時ちょっと過ぎ。
電車通勤の俺は自宅の最寄り駅で降りて、いつものあの場所に向かった。
実は、俺はこの時間が一番好きだ。
今日もいるかな…なんて、ワクワクしたりなんかして。
段々近づくそこはガラス張りになっている。
歩きながら、店内をチラッと覗くと
あ、いた…
胸がドキドキしてくる。
俺は髪を手グシでササッ、ネクタイはキュッと直して身なりを整えた。
ふふっ。
会社ではあまり気にしないのになって思うと、自分でも笑えてくるけど。
よし、行くか。
そこは自宅近くにあるコンビニ。
入り口を入ると、
「いらっしゃいませ〜」
ハスキーな低音ボイスが聞こえてきて、顔がついにやけそうになってしまう。
お弁当コーナーで商品の陳列をしているのが、さっきの低音ボイスの持ち主『櫻井』くん。
左胸の名札で知った。
夏休みの時期からこの時間にいる彼は、大きな瞳とぷっくりした唇が印象的な人。
一度、店員同士で会話してるのが聞こえたけど、多分学生さんなんだろう。
カゴを持ち、櫻井くんがいるお弁当コーナーのほうへ向かう。
「ツナマヨ残ってるかなぁ…」
櫻井くんの近くに行き、俺はそう呟いた。