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キミとボク【気象系BL】

第79章 キミが作ったクリスマスケーキ



「智くん、色んな角度から見てみて」

目をキラキラさせる翔。

「あっ」

「んふふ」

「ハートがいっぱいじゃん」

「うん、そう」

翔が嬉しそうにしている。

「俺の智くんへの気持ちをいっぱい詰めこみました」

「翔…」

他の人にはハートには見えないであろうけど、俺にはわかるよっていう優越感がある。

翔の独特な飾りつけと気持ちに胸がいっぱいになった。




「あっ美味しい」

「ホントだ、美味しい」

「んっ?んっ?なんだ、これ…」

口に入れていたケーキの中に、甘いものを見つけた。

それを口から出し、回りについているクリームとスポンジを取り除いた。

「これって…」

それが何か分かった途端、胸が熱くなった。

「ヒックヒック…しょ、く…」

「あはは。智くん、泣くなって…」

「らって、らって、うれひいから…」

「もう泣かないで、ねっ…」

翔が俺の涙を指で掬ってくれた。

「智くんの涙のほうがよっぽど綺麗だよ…」

そう言いながら、翔が頬と目尻と瞼と唇にちゅっ。とキスをしてくれた。

スポンジの一部をくり貫いた中に入っていたソレ。

指輪の形をしたべっこう飴。

輪の部分は透明で、飾りの部分が赤と青のまだらになっていてすごく綺麗で。

本物をもらうよりもなぜか嬉しく思ったんだ。

「いつ買ったの?」

「会社の子たちが話しててさ。どこで売ってるか教えてもらって、会社の帰りに買ってきたんだ」

そう話す翔は、さっきまで自分のことを“しょお”と言いながら泣きじゃくってた人とは思えないほど男前だった。



「クリスマスケーキ、来年こそは一緒に作りたいな」

「うん、そうだね」

「翔…」

「智…んっ…はぁ…」



初めてキミが作ってくれたクリスマスケーキ。

俺はずっとずっと忘れない。





END



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