第78章 夢の続き
今日は会社の忘年会だ。
入社3年目の俺は、いつになく楽しみでならなかった。
それは、新人の大野智が参加するからだ。
大野の仕事ぶりは決していいとはいえない…。
だけど何事にも一生懸命だし、仕事に厳しい俺にもついてきてくれている。
何よりも、ふにゃんと笑う顔がたまらなくかわいくて癒されているんだ。
「櫻井さん、注ぎましょうか」
新人は恒例となっているが、挨拶しながら順にテーブルを回っていた大野が俺の所にきた。
「あぁ、お願い」
ニヤケそうになるのをこらえて、つまみを1つ口にした。
「おっ、これうまっ」
何気なく取って食べたそれが思いのほか美味くて、3つ4つと口に頬張った。
「櫻井さんて…」
大野がクスクス笑っている。
はっ。
俺としたことが…。
「意外と子どもみたいなとこあるんですね」
「えっ」
そして大野はズイッと俺に体を寄せ、
「櫻井さん…可愛い」
いつもより低い声でそう耳打ちしてきた。
大野に視線を向けると、口角を少し上げ妖艶な表情で俺を見ていたからドキリとした。
なに、今の…。
「向こうに行ってきますね」
いつものようにふにゃんと笑い、隣のテーブルに向かう大野。
俺は決してお酒は弱くはないはずなのに…
ドキドキして全身が火照っている。
初めて見た、あの妖艶な大野の表情に体も疼いしまったんだ。