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キミとボク【気象系BL】

第74章 バスストップ



翌日の朝も、バス停に並ぶ智くんの髪の毛には寝癖が跳ねていた。

直してあげたい…

俺は震える手を伸ばし、あなたの髪を撫でた。

思っていたよりも柔らかい髪質なんだなぁ…

「しょぉくん?」

名前を呼ばれて我に返った。

「あ、あのね、寝癖がついてたから…」

「んふふ、ありがと」

可愛らしく笑うあなたにドキドキする。

俺はあなたの髪に触れた手を、キュッと握りしめた。


バスに乗ると、いつもの場所にあなたの友達らがいた。

智くんもいつも通りそっちへ向かって行く。

俺はあなたについていき、あなたの友達らに挨拶をした。

「おはようございます」

「「えっ、あっ、おはよう…ございます…」」

「んふふ。みんなびっくりしてるよ、しょぉくん」

そりゃあびっくりするよね、初めてのことだし。

だけど…なんか雰囲気が違う。

「ねぇ、智くん…どうしてみんな、顔が赤いの?」

「しょぉくん…気づいてなかったの?」

「何が?」

「みんなね、しょぉくんのファンなの」

「…ん?いやいや、それはないでしょ。俺、智くん越しにあの人たちに見られてたもん」

「でしょ。んふふ」

「でしょ、って…」

よく考えてみると、見られてはいたけど睨まれてはいなかったような気が…する。

そっか、そうなのか。

気持ちに素直になり始めた俺にも、周りのことがちゃんと見えてくるようになるのかな。

憂鬱だったバス通学が、楽しくなりそうな予感がした。







「しょぉく〜ん」

「智くん、どうしたの?枕なんか持ってきて」

「一緒に寝よ?昔みたいに」

「な、なんで…」

「さ、終点のベッドまで早く早く」

「ちょ、ストップ…」


あなたに触れるのには、まだまだ勇気がいるんだからね。






END

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