第72章 実りの秋
部屋に戻ると、布団が二組少し離して敷いてあった。
「くっつけてくれててもいいのにね」
そう言いながら、翔くんが屈んで布団を引っ張り近づけていく。
旅館の浴衣からうかがえる、翔くんの色気を放つ首から肩、鎖骨となやましい腰のライン。
「翔くん」
「あっ…」
俺は堪らずに翔くんを布団に押し倒した。
湯上がりでほんのり暖かいお互いの身体。
下から俺を見上げる翔くん。
「翔くん…ありがとう」
「どうしたの…改まって…」
「ちょうど1年前に付き合いはじめてさ。」
「うん」
「ここも、その頃に予約してくれたんでしょ?」
俺はキョトンとしている翔くんにちゅっ。とキスをした。
あっ…と呟きながら頬を赤らめていく翔くん。
「気づいちゃったの?」
今度は翔くんからちゅっ。とキスをくれた。
「うん」
どちらからともなく、ちゅっ。ちゅっ。と啄むようなキスをする。
「1年後も智くんと一緒にいられたらいいなって思って…んっ」
「んっ…翔くん…」
俺たちは見つめあい、頬に手を添えて深いキスをした。
舌を絡めあい、少しまだ濡れている髪を撫でていくと、翔くんの手が俺の首に巻き付いてきた。