第68章 ボクと先生の事情
「んっ…ダ…メ…」
大野先生は僕の肩を押して、体を離そうとする。
だけど僕は先生を逃がすまいと、後頭部をガッチリとホールドして口づけを続けた。
くちゅっ…
「んっ…」
「はぁ…もっ…ダメって…」
キスもホールドする力も強くなっていく僕に対し、先生の力は段々緩んでいく。
グイッと引き寄せると、先生の体が再び僕の上に重なったんだ。
「もう…こんなことして…」
唇が触れるか触れないかのところで先生が話す。
「ごめんなさい…」
「ギュッてするだけのはずだったのに…」
「ごめんなさい…」
先生が俺の髪を優しく撫でていく。
「まだ、体と心は痛いの…?」
「はい…ドキンドキンしてます…」
「ふふっ。ドキンドキンは…すぐに治まるものではないと思うけどな…」
「はい…。あと…ウズウズしてます…」
「ウズウズ…?」
「はい。ウズウズは…先生となら…治まるかもしれないです…」
「どうすれば治まる…?」
「それは…大野先生と…触れあって…」
「触れあって…?」
「熱を…放てば…だと…」
先生の手を取り、僕の膨らんでいる中心に触れさせた。
だけど…
「あっ…ん…」
自分で先生の手を中心に持っていったのに、ちょっとの刺激で声が出てしまって恥ずかしい。
「自分でできる…?」
「自分で…ヤダ…先生と一緒がいい…」
「そっか…何とかしてあげないとね」
大野先生の暖かい手が、俺の頬を包む。
「大丈夫だから…」
先生の声は、やっぱり安心する。
薄暗くても、先生が憂いを帯びた表情をしているのがわかる。
それに見とれていると、先生の唇が僕の唇に重ねられた。