第66章 2017*9*15
朝、リビングに向かうため階段を降りているとソファーいる猫背な姿が見えた。
「智くん?」
「しょ、く…」
後ろから声をかけると、振り向いたあなたは静かに涙を流していた。
隣に腰をかけると、あなたはコテンと頭を俺に預けてくれた。
「18年…だよ」
「うん。18年だね」
「あかちゃんだった子がね、高校そつぎょうだよ」
「うん。そうだね」
あなたは舌ったらずにゆっくり話し始めた。
耳には、3人が部屋のドアを開ける音が微かに聞こえる。
「あの日…18年前の今日ね、あつめられたのがこの5人で良かったって…」
「うん。そうだね」
「だけどあの頃は“何でこのメンツなんだ?”って言われてて…」
「ジュニア黄金期っていわれてたからね。みんな輝いてたし」
「マスコミとかギョーカイ関係者の予想が外れてて」
智くんは自分のことを言ってるんだと思った。
テレビにはあまり出てなかったから知名度が低い…
なんてとんでもない!
ジュニアの中ではカリスマ的存在だったんだから。
その頃からのファンだっていう人たちもいる。
「だってさ。ジャニーさんはその人たちに相談したわけじゃないからね。“この5人でいきたいけど、どうかな?”なんてさ」
「もうっ、しょぉくんは…んふふ」
「やっと笑ってくれた…」
俺はあなたの…智くんの肩を抱いた。
パタン…パタン…パタン…と2階で3つのドアが閉まる音がした。
うん。
智くんはもう大丈夫だって、みんなも感じたんだね。