第63章 キミって…
後始末をした後、二人でソファーベッドに横になった。
「この部屋も換気しに来ないとなぁ。」
「ねぇ。おじいさんはさ、いつ頃こっちに帰ってくるの?」
「多分ね、涼しくなってからだと思うんだ。」
「そうかぁ。その間に一度は草むしりしないといけないかもしれないね。」
「うん。その時はさ。手伝いに来てくれる?」
「うん。いいよ。手伝う。」
「ホント?ありがとう。」
「うわっ。」
「んふふふふ。」
ギュウッと抱きしめられる俺。
「櫻井くんと、また一緒に踊りたいなぁ。」
そして上目遣いで見る大野くん。
「今度来た時はさ。俺がね、草むしりの成果を見せてあげる。」
そう言って俺にちゅっ。ちゅっ。とキスをしてきた。
可愛すぎる。
俺もその気になり始めたら、母親からの着信音が…。
「あっ。やべっ。帰らないと。」
「また明日、学校で会おうね。」
「うん。…大好き。」
「俺も…大好き。」
帰宅すると母親が待ってましたとばかりに、携帯の画面を見せてきた。
そこにはおじいちゃんと大きな魚と…
「おじいちゃんの隣にいる人、誰なの?」
「名前はわからないけど、人生初めての釣りを親友としました、だって。」
うちのおじいちゃんはかなりのイケメンだけど、一緒にいる男の人も中々のイケメンだ。
翌日、俺は大野くんに画像を見せた。
「うちのおじいちゃんと親友さんなんだって。二人ともさ、イケメンだよね。」
「あれ?この人、うちのじいちゃんだよ。俺のとこにも同じのが…ほら、ね。」
「じゃあ大野くんのおじいさんの親友って…うちのおじいちゃん…。」
二人で顔を見合わせて、笑いあった。
キミと俺は生まれる前からも、こうして繋がりがあったんだね。
それも素敵なことではあるけれど…
俺は、一緒にした草むしりやダンスの相性とか…アレとか…色々…俺たちの1つ1つの繋がりも大切にしたいと思ったんだ。
それから数日が経った金曜日。
「櫻井くん、明日は何か予定ある?」
「ううん。ないけど。」
「じゃあさ。」
握って…抜いて…の動作を繰り返しジェスチャーする大野くん。
「ちょっ…。」
俺の反応を面白がってるんだなと思ったら、下のオレも反応してきて。
“いいか、明日まで我慢だからな。”
俺は下のオレに向かってそう呟いた。
END