第62章 Jさんのお誕生日に…
俺は松本潤。
今日、8月30日は俺の誕生日。
そして…淡い恋心を終わらせた日でもある。
それは34歳になった俺が、高校生の時のこと。
入学して友達ができて。
いつからか、俺を含む5人組でよく行動するようになっていた。
その中の1人…櫻井翔くんに俺は恋をした。
櫻井くんは色が白くて赤いふっくらした唇、大きな瞳の持ち主。
成績はトップクラスなのに威張るわけでもなく性格も良くて。
だけど…
その彼が好きになったのは残念ながら俺ではなくて。
5人組の中でも口数の少ない大野智くんだった。
大野くんは垂れがちな優しい目とスーッと鼻筋の通った美形。
ボーッとしているけど、何でもこなせる不思議な人だった。
櫻井くんは大野くんに好きだと伝えるわけでもなく、目で追っていたり、何気に隣りをキープしていたりしていた。
大野くんは気づいてるんだか気づいていないんだかわからないけど、イヤそうではない感じだった。
そんな日常が変化したのは高2の初夏だった。
大野くんのお母さんが体調を崩して、入院し手術した。
詳しいことはわからないけど、お母さんの退院後、大野くんは1ヶ月近く休学した。
お母さんの体調のこともあるから、あまり連絡したりしないようにというのが大野くんの希望だった。
俺は…ずるいかもしれないけど、今まで大野くんがいた櫻井くんの隣りにいけるチャンスだと思ったんだ。