第61章 夏の終わりに。
「さと…く…。」
胸の小さな突起を舌で舐めたりチュウッ…と吸われる。
その度に擽ったくてキモチが良くて身体がビクッとしてしまうのが恥ずかしい。
智くんはミルクのようなにおいをしていて、何だか可愛いなって思った。
徐々にだけど、花火大会から帰宅する人たちの声と足音が聞こえてくるようになった。
「智くんっ…人が来そう…。」
「ん〜っ。あともうちょっと…。」
「だけど…。」
「ん〜っ。仕方ないかぁ…。」
智くんは最後にチュウッと突起を吸ってチュパッと音を立てて唇を離した。
吸われていた部分がジンジンとする。
体を起こした智くんの艶めいた表情と濡れた唇に、俺の身体がまた疼く。
それを智くんに悟られないうちにと、浴衣を直した。
「俺、自転車で来たんだ。」
「えっ?自転車?」
たしかに、この場所なら智くんの家のほうからは自転車でも大丈夫な距離かもしれない。
「しょーくんと少しでも長くいたかったし…。今さ、しょーくん色気駄々漏れだから、電車に乗せたくないし…。」
「色気って…。」
「出てるの。色っぽすぎるの。今すぐ電車は無理。」
「ふふっ。わかりました。でも智くんの帰りが遅くなるから、中間辺りまででいいですからね。」
自転車を押す智くんと一緒の帰り道。
学校で智くんと過ごせるのは、あと半年なんだな寂しいなって思った。
「しょーくん。」
「…はい」
「長くいたいのは…これから先もだから。」
「うん、ありがとう…俺も…そう思ってる。」
「んふふ。ありがとう。」
花火、綺麗だったなぁ…。
不安と希望と…
ちょっぴり切なくなった夏の終わり。
これが恋かぁ、なんて…
温もりと疼きを知った夏の終わり。
お風呂に浸かって…
「う〜っ。さとしぃ…。」
初めて吸われた胸が湯にしみて、ちょっぴり痛い夏の終わり。
END