第53章 忍びの…①
ボスン。
「うっ…。」
下で支えていた無門の顔に、翔のお尻が乗っかってしまったのだ。
「じょお(翔)…。」
「ご、ごめんなさぁい…。」
「早ぐどげ(早くどけ)。」
「あんっ…。喋らないで…。」
「にゃにっ(何っ)。」
「あぁん…。お尻に温かい息が…かかります…。」
何だ、この可愛い生き物は…。
翔に対してそう抱いた無門。
「じょお…早ぐ…(翔…早く…)。」
「あんっ…。喋ったらダメですって…。」
んふふふふ。
心の中で笑う無門。
無門であれば、翔を退かすことは容易いことである。
だが、翔の色っぽい声が聞きたいばかりに、そうはせずにいつまでも翔のお尻を顔に乗せたままにしているのだ。
「無門殿ぉ…。足に力が入りません…。」
「にゃぜじゃ(何故だ)?」
「無門殿…いたずら…してますか…?」
「じでにゃいぞ(してないぞ)。」
「あんっ…もう…。」
無門は少しずつ顔をずらし、翔の股にある柔らかい袋を舌でつついているのだ。
「ひゃあんっ。」
あまりの刺激に翔の腰が跳ね上がった。
翔の身体を受け止めて、地面に下ろす無門。
「ごめんなさい。弟子になんて無理ですよね。」
翔は大きな目に涙を溜めている。
こんなに可愛い人を手放すのは惜しい。
「まだまだ修行しないといけないな。」
「えっ…?」
「頑張れよ。」
「はい、ありがとうございます。」
翔の綺麗な微笑みに、キュンとする。
気づかれない程度で時々お仕置きをしよう。
そう考える無門なのであった。
「翔くん。この話、何?」
「俺が書いたの。」
「どうして?」
「だってさ、俺も智くんと一緒に映画に出たかったんだもん。」
「…で、①ってことは…。」
「うん。②もね、ちょっと考え中。」
はぁ…。
呆れつつも、そんな翔くんが愛しい智くんなのであった。
END