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キミとボク【気象系BL】

第50章 かき氷のように



大学生の俺は、高校を卒業してすぐ独り暮らしを始めた。

3歳下の弟の翔は私立高校に通う2年生。

自宅よりも俺が住むアパートからのほうが高校が近いらしく、今は兄弟2人で一緒に住んでいる。

狭いけど2DKだから、一応それぞれの部屋はある。

そうじゃなかったら、翔と2人でなんて…。



いつも俺より早く起きる弟の翔が、今日はまだ部屋から出てこない。

「翔…?」

そっと部屋のドアを開けてみると、翔はタオルケットにくるまっていた。

「翔…、どうした?具合悪い?」

モゾモゾッと動いた翔が、目の辺りまで顔を出した。

おっきな目が潤んでる。

…可愛い。

俺の胸がキュンとする。

「ん…ちょっと頭が痛い…。」

「熱は?」

「うーん…わかんない。」

「わかんないかぁ…。どれどれ。」

俺は翔のまぁるいおでこに手をあてた。

「冷たっ。」

翔が身体をビクッとさせる。

「あっ、ごめん。さっきまで顔、洗ってたから。」

「水で?」

「うん。目が覚めるし。」

「ふふっ。智くん、小さな頃から変わらないね。」

頬の下辺りで、タオルケットをキュッと掴む翔の手の指。

無意識なんだろうけど…萌えるんだよ、それ。



「智くん…ごめんね。」

「何が?」

「ほら…明日のお祭り。…俺、行けないかもしれないから…。」

「いいから気にするな。」

「友達からも誘われてるんでしょ。」

「俺が翔と行きたいの。」

「…もしも、もしもね、俺が行けなかったら…誰かと…。」

そう言いながらもさ、今にもおっきな目から涙がこぼれそうになってるじゃん。




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