第44章 溢れる
「はぁ…はぁ…。」
「んっ…はぁ…。」
薄明かりの中、キスの合間の息づかいが部屋に響く。
Yシャツの裾から手を入れて胸を撫でると
「あっ…んっ…。」
櫻井は艶めいた声を出した。
ネクタイを取りYシャツのボタンを外すと、櫻井のはだけた胸板は厚く、スベスベで滑らかな手触りがした。
胸の突起にぷちゅっと唇をあてると、ビクッとする櫻井にそそられて、きつく吸ってみた。
「あっ…いや…。」
その言葉を聞き吸うのをやめると、
「やめ…な…いで…。」
俺に訴えかけてくるんだ。
再び胸の突起を吸ったり舐めたりしながら、Yシャツを剥ぎ取った。
露になった首筋と肩にキスをおとしていくと、櫻井の手が自身の中心に伸びていった。
布越しからでも張りつめているのがわかる。
櫻井のベルトに手をかけると、
「あっ…自分で…します…。」
ためらいがちに言うから、櫻井の気持ちを優先させた。
俺も服を全て脱ぎ捨てた。
一糸纏わぬ姿の櫻井の身体は薄暗い中でもしなやかで綺麗なのがわかる。
「…大丈夫?」
肩を小さく震わせ、不安げにしている櫻井に声をかけた。
だけど。
櫻井の腕が俺の腰に回り、直に肌に吸い付くように身体を密着させてきて…覚悟を決めたのだと感じた。
どちらからともなく唇を重ね、深いキスへと変えていきながらベッドに身体を沈ませた。