第42章 時の過ぎゆくままに
中2の夏、僕は恋をした。
その人の家は、いわゆる町のクリーニング屋さん。
電話一本で取りに来てくれるし、クリーニング済みの物は自宅まで届けてくれる。
ウチは3世帯で住んでいて、おばあちゃんがよく利用していた。
夏休みになり、家で留守番をしていると
「クリーニング屋です。お届けに来ました。」
と声がした。
いつもはおじさん…店主さんが来るのに、今日は若い男の人の声だった。
不思議に思いながらも玄関を開けた。
その人と目があい、暫く見つめあって…
鼓動が少し早くなったのを感じた。
「あの…。今日、おばあさまは…。」
「あぁ、いま出掛けてるんです。」
「そうですか。それならコレ…おばあさまに…。」
そう言いながら、3着手渡された。
「ありがとうございます。渡しておきます。」
「よろしくお願いします。」
僕より30㎝くらい背の高いその人は、柔らかな第一印象そのまま、ふにゃんと微笑んだ。
鼻筋が通っていて、潤みがちの目、薄いけどプルっとした唇…綺麗でかっこよくて。笑うと可愛くて。
瞬く間に心を奪われたんだ。