第40章 胸騒ぎの放課後
夕陽でオレンジ色に染まった美術室。
放課後のチャイムが鳴る。
部員たちは帰っていったけど、俺はここで翔くんの部活が終わるのを待つ。
この日課…もうすぐ半年になるなぁ。
「先に帰ってていいのに」ってたまに言われるけど、俺が待っていたいんだ。
パタパタと小走りする音が近づいてくる。
それが聞こえてくると、俺はワクワクするんだ。
「智くん。」
ほら、背中越しに甘くて優しい声がした。
俺は、振り向き様にスケッチブックをカバンにしまう。
「翔くん、お疲れ様。」
「智くんもお疲れ様。待たせてごめんね。」
「大丈夫だよ。俺が翔くんと一緒に帰りたくて待ってるんだから。」
「智くん…。」
翔くんの頬が、夕陽のオレンジではない赤みに染まる。
いつものように自然と手を繋ぐ。
少し恥ずかしそうに俯く翔くん。
まだ伝えてはいないけど…翔くんも俺と同じ気持ちだと思ってもいいのかな…。