第7章 若葉の頃
熱いキスから唇を離し、顔を見合わせて額をコツンと合わせた。
「なんか…夢みたい。」
「うん、俺も。翔くんとこんな風にキスできる日がくるなんて思わなかった。」
俺たちは抱きしめあって、暫く余韻に浸っていた。
大好きな翔くんとのキスは気持ちがよくて…
幸せだなぁって感じた。
「翔くん、帰ろうか…。」
膝に少しついた土を手で払い、スクールバッグに手を伸ばす。
でも、それを拒んだのは翔くんだった。
「や…だ。」
「翔くん?」
翔くんの手が俺の学ランの裾を掴み、小刻みに震えている。
「どうした…?翔くん…?」
そう言ったのと同時に、翔くんが俺の背中に抱きついた。
「や、なの…。まだ離れたくない。もうちょっとだけ…。」
鼓動が早くなるのを感じた。
まさか翔くんからそんな言葉が出てくるなんて思わなかったから…。
翔くんに抱きしめられている背中が熱い。
「翔くんてさ、意外と情熱的なんだね。」
「そうだよ。智くんに対してだけだよ、俺がこんな風な気持ちになるのは。」
「俺だって同じだよ。俺も翔くんを抱きしめていい?」
翔くんは腕と体を密着させたまま、俺の正面に回ってきた。
「ふふっ、まだ俺と一緒にいたいんだって?」
「そ、それは…。」
さっき自分から大胆なことを言ったくせに…照れるなんて可愛すぎるでしょ。
俺も翔くんを強く強く抱きしめた。
離れたくない、って言ってくれた翔くんの言葉が嬉しかった。
すごく愛しくて…
俺の顔のすぐ近くにある翔くんの耳にキスを落とした。
ビクッと反応する翔くんに堪らなくなって、耳から首筋にキスを繰り返す。
「あっ…ふっ…ん…。」
翔くんの吐息……
俺は思わず翔くんをその場に押し倒した。