第28章 55㎝の空間
教室の窓から見える今日の空は、グレーががってどんよりしている。
帰りは雨になりそうだな…。
やべっ。折りたたみ傘、持ってきてねぇや。
帰りに靴に履き替え、昇降口の外を見た。
小雨が降っているけど、傘がなくても駅までは何とか行けそうだ。
俺は、カバンからタオルを出し、駆け出そうとした。
トントン
肩を叩かれ、動きを止めた。
「あっ…。」
振り向くと櫻井くんがいた。
トクン…トクン…
カッコいい…。
「大野くん?」
「あ、いや…。櫻井くんこそどうしたの?」
「そうそう、大野くんは傘持ってないの?」
「うん。」
「じゃあさ、俺の傘にさ、一緒に入らない?」
「えっ…?」
櫻井くんと同じ傘に…?
これは…夢、なのかな…。