第27章 仲直りは…
「翔くん、本当にごめんね。」
「ううん。俺のほうこそごめんね。ちょっと大人げなかったなって。金魚はさ、こんなに素敵になったのに。俺はまだまだダメだなぁ。」
「そんなことないよ。」
「ううん。俺なんかまだまだ…。」
「俺ね、欠片の形と記憶を頼りに直していったのね。隙間ができたところにラインストーンを付けたんだけどさ。」
「うん。」
「翔くんみたいだなって思ってたこの金魚がね、ラインストーンを付けて更にキラキラしてさ。それが今の翔くんのイメージにピッタリだなって思ったの。」
「俺がキラキラなんて。智くんのほうがよっぽどキラキラしてるよ。」
「いやいや、翔くんのほうが。」
「いや、智くんのほうが…もう、許す!」
ふふっ。
やっぱりこの空気感が好きだな。
仲直りは元に戻るんじゃなくて。
前よりも想いは強く。
雰囲気は甘くなったかもしれない。
翔くんは、嬉しそうに金魚のストラップをカバン付けた。
揺れた金魚のストラップがキラキラして
まるで…
水の中をゆらゆら泳いでいるようだった。
END