第24章 white white white
「俺から智くんへの本命チョコ、です。」
「えっ?」
「あ、えっと…やっぱりこれが一番美味しいよね。」
翔くんは照れ隠しのようにそう言うと、
チョコを食べ始めた。
ふふっ。さっき俺も告白したんだから、
そんなに照れなくてもいいのに。
100円くらいで買えるそのチョコは、
濃い顔の人がCMに出てるやつ。
翔くんがこのチョコの味を好きなのを
知ってたから、それを選んだんだ。
翔くんってば、口にチョコつけてるし。
ふふって俺が笑うと、隣にいる翔くんが
「ん?」って俺のほうを向いた。
ぷちゅっ。
あっ…、いま…唇が重なってる?
「あっ、ごめんね。」
翔くんがすぐ唇を離しちゃった。
偶然だったけど…
ホントに偶然?だけど…
まさか翔くんが自ら?だけど…
あぁ~もう、残念。
両思いなんだからさ…
もうちょっと長くしてたかったな。
自分の唇をペロッと舐めると、
甘い甘いチョコの味がした。
少し陽が射してきて…
濡れた髪と一面の雪が
陽の光でキラキラしてる中、
「さてと。智くん、帰ろうか。」
振り向いた笑顔の翔くんが
本当に雪の王子様に見えた。
END