第22章 たまにはね…
「ただいま~。」
靴を脱いでいると、
パタパタ走って来る足音がした。
「しょぉく~ん。」
智くんは俺の名前を呼びながら、
ピトっと背中にくっついてきた。
うわっ、酒クサイ…。
「智くん、いつもより呑んでるの?」
「しょぉくんが悪いんだからな。」
後ろから顔を除きこんでそう言い、
すぐにぷいっとソッポを向くあなた。
それ、可愛いだけだからね。
リビングに行く時も
背中に張りついてる。
「で?俺が悪いってなに?」
「しょぉくんさぁ、営業先でナンパでもしまくってるの?」
「はぁ?」
なに言っちゃってんの?
有り得ないんだけど。
ローテーブルに着くなり
智くんはビールをグイッと飲んだ。
「もうやめておきなよ。」
「うるしゃい!」
ローテーブルには既に空き缶が
ゴロゴロ転がっている。
「だぁきゃらぁ、ちゃきゅりゃいちょうしゃんは、にゃんぱまなんれしゅか?」
その言い方、わざとだな…。
「“櫻井翔さんはナンパ魔なんですか?”って、あなたなに言ってんのよ。」
俺と智くんは恋人同士。
一緒に暮らしてるんだけど、
月に2回くらい
智くんがこんな風に
荒れる日があるんだ。