第21章 君がいいんだ
「あのさ…、俺さ、合コンにしつこく誘われててさ。」
「うん。」
そりゃあ、翔くんモテるからなぁ。
彼女を作らないのが不思議だけど。
俺は翔くんに告白した女の子たちが振られる度に、心の中でガッツポーズしてたんだ。
「いつもさ、彼女がいるから…って断ってたんだけど、みんながさ、本当に彼女がいるのか疑い始めてさ。」
「うん…。」
「次の合コンにまでに、一度会わせてくれないと納得しないって言われて…。」
「そっか…で、どうするの?彼女と会わせろなんてさ…翔くん彼女いないじゃん。」
「そうなんだよね…。でもさ、幹事が…苦手な先輩でさ。」
「あ~、翔くん断れなさそう。」
「だからさ…どうしたらいいかな…。」
翔くんがシュン…と情けない顔をしてるのが、頭に浮かぶ。
「…翔くんの彼女、とやらをそいつらに会わせればいいんだよな。」
「うん…って、えっ?」
「俺が何とかするから。」
「智くん…。」
「で?いつなの、それ。」
「合コンは来週末なんだけど。」
「じゃあ、いつ会わせればいいかをまた連絡ちょうだい。」
「わかった。ありがとう、智くん。」
心なしか翔くんの声が少し明るくなって、ちょっと安心した。
翔くんを困らせるヤツは許さない。
さぁ、どうしようかな…。